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あるうつ病クライアントの症例

30歳代男性。彼は「人前・仕事で緊張する。朝起きても起きた気がしない」と訴え、一日ボーっとして無気力になってしまったということで、分析に来られた。
仕事はなんとかこなすが、心が苦しい。彼は仕事が原因でうつ病になったと自分で決めていた。
分析では、うつ病の発病から半年前の間に生活上の変化・出来事はなかったかを聞く。その間に発病のきっかけとなった出来事があるはずである。
すると発病4ヶ月前に婚約をした。ということはこの婚約がうつ病の引き金になったと分析はみる。
彼には緊張、*書斜があり、この緊張は小学校の頃からあったという。
その内容は、からだをこわばらせる、身構える、振るえる、堅くなるというもの。これらのもとには恐怖がある。
人間が味わう恐怖とは体罰、痛み。彼は母親にベルトで叩かれ、お尻にろうそくを垂らされたいう。
そんな彼が婚約して母親に宣言したことは、「俺は絶対(子どもを)叩かないからな」ということ。
彼の奥さんになる人も父親に叩かれた人。そんな二人が言ったことが、「子どもができたら、叩くのはやめようね」
でも、実際には叩いてしまうのである。意識で叩かないでおこうと思っても、無意識は自分がされてきたことを繰り返してしまう。それが世代連鎖であり、虐待を受けた人は、それを憎み、それに苦しめられてきたのもかかわらず、意識では止められない。
彼の葛藤は、本人は気付いていないだろうが、発病から4ヶ月前の婚約のときに始まった。
結婚から発生する、子どもができた先の子どもの問題に、彼は今から悩んでいた。
結果、二人が出した結論は「子どもはつくらないでおこう」であった。叩かれて育った自分たちが子どもをもったなら、叩いてしまうことを、どこかでわかっていたのだろう。
また、その子どもを育てる過程で、親は自分の子どもの頃を振り返る、きっと自分もこうやって育てられたのだろうと。
それが楽しい・心地よいものならいいが、辛く苦しい思い出であったなら、見たくないと思うのは当然であろう。
結婚が決まって母親に、「俺は絶対(子どもを)叩かない」と宣言するということ=お前(母親)は散々俺を叩いただろうと言っているのと同じことである。
叩かれたにもかかわらず、虐待の痕跡を残さない人もいるが、虐待の痕跡を残した人、全てに虐待がある。虐待・体罰は何の意味もない。
虐待には、一.体罰 二.無視またはネグレクト(反応しない) 三.否定(ダメ) 四.分離の四つがある。
良いことも悪いこともそれとして世代連鎖される、だからこそ自分と向き合い、自分を見つめ、自分を知ること。完璧な人間はいないのだから、悪しき伝統、間違いは正し、自分の代で書き換え、子孫に伝えない。そして真理を知り、理想を掲げ、自分をよりよく変えていくこと。そのための一つの方法が精神分析であると私は思う。

*書傾・・・人前で字を書くとき、手が震えうまく書けないという症状。

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2007年07月12日 23:59に投稿されたエントリーのページです。

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