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分析家の独り言 12 (信頼関係をつくる)

分析に来られたクライアントが話し出すのを待つ。言いたいことが明確なクライアントは、こちらが何も言わなくても話し出す。
人それぞれで、最近起きた出来事をまず話す人。夢分析の夢を報告する人。もちろん何から話さなければいけないということはない。
1時間、ランダムに様々なことを話しているようでも、根底に流れるあるひとつのテーマがある。話を聴きながらそれを探す。
なかには、自分から話さない人がいる。「何でもどうぞ」と促すが、「特に何も」とか、「何もありません」などと言われる。
普通なら、「それじゃあ何で来たの」と突っ込みたくなるところだが、そうは言わない。それは「言いたいことがいっぱいあるが、どこから話していいかわからない」という意味。
クライアントにもよるが、クライアントの反応を見ながら、了解を得てこちらが質問をしていく。「私から質問してもいいですか」と聞いて、「はい」と答えられたら、前回の分析で気になったこと、ひっかかった言葉、クライアントの日常についてなどなど。
うつむいて、元気がない様子。答える声も小さかったりする。それでも、そうするうちに、少しづつ本音が語られる。涙がこぼれることも多い。
本当に語りたくなくて、理解されたくないのなら、わざわざ分析になど来ないはず。とにもかくにも来るということが、クライアントの意思を表す。
わかって欲しいが、暴かれたくはない。理解して欲しいが、どうせわからないだろうとも思っている。複雑な想いやアンビバレンツを抱えながら、心身ともに疲れ、悩み、心を閉ざしかけた人たちだったりする。だからこそまず信頼関係をつくることが大事。
私もそうして救われたクライアントの一人だったと、今更ながら想う。

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2007年08月14日 12:19に投稿されたエントリーのページです。

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