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分析家の独り言 45 (ピアスと身体感覚)

あるクライアントが、ピアスをつけた。
以前からピアスの穴をあけたいと聞いていた。
実際にピアスをつけてみて、うれしい、楽しいという。
「どうしてですか?」とたずねた。
「これで親からもらった体じゃなく、やっと自分の体だという気がする」という。
なるほど。
自分が感じている痛みは自分のものだから、痛みを感じることで自分の体になった。
私の身体感覚・イメージを私が作った=主体が少しあらわれた、ということ。
ピアス一つをするにも、その人なりの意味があるんだなと、今更ながら思った。

ちなみに若い人たちが、耳に限らず体のあちこちにピアスをつける。
ピアスの意味とは、身体感覚の意識化、自己自身感覚の強調。
よく夢から覚めて、夢か現実かわからなくてつねってみる。
「痛い。じゃあやっぱり夢ではないんだ」という、これと同じ。
それくらい身体感覚がないといえる。
自己感覚を作るために痛みは使われる。
痛みは全身に広がって、自他の境界を露わにする。
そのため身体のきわにする。
鼻は体の中心であるため、ピアスをつける人がいる。
両耳・鼻の3点がつながり、立体的になる。
ボディーにも身体感覚が必要な人は、おへそや乳首にピアスをつけることもある。
足は歩くことで地面の圧力を感じられるため、手はものをつかんだり触れたりするため、わざわざピアスをつけなくてもよいのだろう。
ピアスによって、身体を縁取っている。
24時間ピアスをつけていると、そこに意識が行き、自分を自覚できる。
そうすることで、からだがバラバラにならずにすむ(ラカンがいう身体のバラバライメージ)。
こうしてバラバラな身体イメージをつなぎ、統合するために痛みが使われる。
本来はそれをスキンシップによってする。
マッサージやエステは同じ意味がある。
スキンシップされ気持ちよくなって寝てしまうことも多い。

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2007年12月12日 23:56に投稿されたエントリーのページです。

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