« 分析家の独り言 95 (部屋はその人の精神内界) | メイン | 分析家の独り言 96 (症例 人生を再構成・再統合し新しい人生を) »

理論解説(症状) その4

新宮一成氏著、「ラカンの精神分析」の本からの抜粋である。

フロイトが挙げている、外出恐怖の女性の例。

彼女は、店員たちに服のことで笑われるという観念に捉われている。

分析してみると、彼女は幼い頃、ある老店主に服の上から体を触られるという性的な「外傷」を体験していることがわかった。

その時その老店主は、にやにや笑を浮かべていた。

幼い彼女には、その時その経験の意味がわからなかった。

思春期に達して彼女はその意味を事後的に理解したのであるが、体験そのものの記憶は抑圧され、記憶の代わりに症状が形成された。

「服のことを笑われる」という症状的観念のうち、「服は」幼い頃「服の上から」触られたという観念を、「笑われる」は、「老店主の笑い」をそれぞ象徴している。

このように、事後性という過程においては、ものごとが象徴的に理解されるが、その必然的な代償として、ものごと自体は消去されてしまう。

ここの本では事後性について解説されているが、症状の形成させれる過程としてみてもおもしろいのではないかと思い紹介した。

ある症状が形成されるそのもとには、このように外傷なり、何か原因がある。

それを謎解きのように過去を想起し、紐解いていくのが分析の作業である。

クライアントは想起障害にあり、口をそろえたように「記憶にありません」、「思い出せません」という。

それでも分析者と話しているうちに、「そういえがこんなことがありました」とポロッと思い出していく。

そしてある重大な記憶にたどり着く。

それは見たくない、思い出したないとして、葬り去った記憶である。

だからそこに抵抗を示す。

しかし、その因果関係をクライアントが理解し、了解すると症状は消える。




ラカン精神科学研究所のホームページはこちらです。

この日記は研究所の日々の活動内容が綴られています


About

2008年05月01日 23:29に投稿されたエントリーのページです。

ひとつ前の投稿は「分析家の独り言 95 (部屋はその人の精神内界)」です。

次の投稿は「分析家の独り言 96 (症例 人生を再構成・再統合し新しい人生を)」です。

他にも多くのエントリーがあります。メインページアーカイブページも見てください。

Powered by
Movable Type 3.34