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分析家の独り言 127 (対象喪失:まず愛着)

うつ病の大きな引き金となるものに『対象喪失』というのがある。

『対処喪失』とは、第一には、近親者の死や失恋など、愛情・依存の対象の死や別離の体験をいう。

子どもの成長にともなう親子間での親離れ、子離れの体験をも含む。

第二には、住み慣れた環境や地位、役割、故郷などとの別れである。(引越し・昇進・転勤・海外移住・帰国・婚約・進学・転校・・・など)

第三に、自分の誇りや理想、所有物の意味をもつような対象(象徴化された物)の喪失がある。

対象喪失のおこり方には、自分が望まないのに外から強いられる場合と、自らが引き起こした場合がある。

(小此木圭吾著 対象喪失より一部抜粋)


いずれにしても対象喪失が起こるには、まずその人の中に対象と一体化を願望する愛着が存在することが必須条件。

ある20歳の女性クライアントに「愛着」というこがわかりますか?と聞いた。

彼女は、「物への愛着はわかるが、人への愛着がわからない」といった。

残念ながら、現代人の中にこういう人は多いのではないかと思う。

愛着は、子どもにとっての最初の対象である母から学ぶのものである。

まず母親が子どもへ愛着を示し、それに応えるかのように子どもが母に愛着行動を示す。

それは身体的接触を求め母にまとわりつき、常にそばに居ようとするという行動でしめされる。

その最初の愛着を学んでいないことになる。

この愛着を子どもに定着させるためには、母親は少なくとも0~1.5歳の口唇期の間、子どものそばに居続け、子どものサインを読み取って抱っこすることである。

そうでなければ子どもの心は正常には育たない。

残念ながら社会は、人間の心の発達論を知らないために逆の方向に進んで行っている。

0歳児保育をすすめ、保育園に入れない待機児童をなくし、母親を社会参入することを良しとしている。

そのことの影で、子どもたちは放っておかれ、見捨てられ、寂しさを抑圧し、愛着を学べず病んでいく。

これからますます不登校、引きこもり、非行、凶悪事件は増え、低年令化していくだろう。

この状況を誰がとめられるだろう。

一人一人が考え、気づき、軌道修正していくことであろう。


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2008年08月01日 14:08に投稿されたエントリーのページです。

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