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分析家の独り言 128 (ネバー・ギブアップ)

クライアントに共通することに、人と関わるのが苦手、うまくないというのがある。

人は離れ小島で一人で生活するのではなく、社会の中で人と関わりながら生きていく存在である。

家族をはじめ自分の生きる周りの人と少なからず何らかの関わりを持つ。

その人が怖いという(対人恐怖)、その程度も様々。

実際に人が自分に何を言ってくるわけでもないのに、非難される、否定される気がするといって、家を出られない人が居る。

社会適応しているものの、人前で何か言わなければならない場面で、頭が真っ白になり自分でも何を言っているのかわからなくなる。

仕事はまじめにこなし、周りからの信頼もあるが、本人は人との関わりにくさを感じている。

社会適応しているか、していないかは大きな分岐点ではある。

子どものように「もうだめ、死にたい。助けて」と泣きながら電話をかけてくるクライアントも居る。

つらくてどうしようもなく、心細くなるのだろう。

仕事中ですぐに電話に出られないときもあり、留守電にメッセージが残っている。

慌てて私も電話を入れる、「今ひと区切りつき、留守電聞いて電話しました」と。

少し話すと落ち着く様子。

私もホッとする。

本人はこんな状態で本当に自分の症状が消え社会に出て行けるのか、不安になり何度も聞いてくる、「本当に私、治る?」、「治りますよね」と。

「もちろん、治ります」と答える。

分析により、信頼関係を築き、転移を起こし、本当なら子ども時代に親との間で培うべき情緒性などを学習しなおし、止まった心の時計を動かす。

なぜ人が自分を非難したり、否定すると思うのか、それにより外にも出られないほどになってしまったのかを探っていく。

「ネバー・ギブアップ」、私も何度も私の分析者から言われた言葉である。

それをまた今、私のクライアントたちに言う。


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2008年08月03日 11:25に投稿されたエントリーのページです。

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