« 分析理論講座日程のお知らせ(平成20年11月) | メイン | 大阪出張セラピーのお知らせ(平成20年11月) »

分析家の独り言 154 (信頼の難しさ)

9月のある夜、携帯電話がなった。

若い女性の声、携帯でホームページを見たという。

「分析がどういうものかわからないが、受けてみたい」

「勤めがあるため夜がいい」と言うので、「明日の夜どうか」と言うと、

「今からこの電話で分析を受けられないか」と言われた。

もう夜9時はしっかり過ぎていた。

突然の電話でこんな夜遅くに、今から分析とはどうしたものかと思ったが、それほど急を要することなのかと思い、OKした。

直接の悩みとは外れるが、親子関係に触れ出したところから、彼女の口調が変わり出した。

クライアントがそうであるように、そこに大きな問題を抱えていることがわかる。

分析の規定である45分間話をし、電話での分析ではなく、直接会える形で分析をしたいので、関東方面で分析家を紹介して欲しいというので、私は関東方面の分析家仲間の名前・連絡先を教えた。

電話での分析は私の指定口座に振込みをしてもらうことになっている。

彼女のほうから振込先を聞いてきたので、新生銀行の口座を教え、振り込むことを確認したうえ電話を切った。

ところがいっこうに振込みがなかったので、彼女の携帯電話に振込み依頼の電話を入れた。

すると、「あれが分析とは思えない」、「あなたの無言の時間が多く、実質45分話していないから、1万円は払えない」」

「振込みするのを忘れていた」、「それくらい嫌な思いをして早く忘れたかったから、振込みするのを忘れたのだろう」

「途中から、あなたの声を聞くのも嫌になって、早く電話を切りたかった」などと言い出した。

「それなら、そのときにクレームをつけるべきでしょう」

「しかも、あの時点で、振込先を聞き、振り込むと言いましたよね」

「それを後になって、ああだこうだと文句をつけて払わないのは契約違反でしょう」と私は言った。

私もこの仕事をして10年近くになり、これまで電話での分析もいくつかしてきたが、振込みを忘れたとか、こんなことを言われたのははじめてである。

私は相手がどんな人かはわからない、相手も私がどんな分析家かはよくわからない。

それでも何らかの信頼をもって、分析をする契約を結ぶ。

特に電話の場合は、どこの誰かもわからないまま、こちらとしては分析料を支払ってもらえるものとして分析依頼を受ける。

今までのケースで、すんなり支払われなかったことはなかっただけに、正直私なりにショックだった。

私は最後に、「おせっかいだろうが、人間関係の根本は親子関係にあるから、お母さんとの関係を見直された方がいいと思う」と言って電話を切った。

ほとんどの人の悩み、苦しみは突き詰めれば、親との関係にあることを思うと、親の役割、その存在の大きさを今更ながら痛感する。


ラカン精神科学研究所のホームページ

About

2008年10月12日 23:10に投稿されたエントリーのページです。

ひとつ前の投稿は「分析理論講座日程のお知らせ(平成20年11月)」です。

次の投稿は「大阪出張セラピーのお知らせ(平成20年11月)」です。

他にも多くのエントリーがあります。メインページアーカイブページも見てください。

Powered by
Movable Type 3.34