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分析家の独り言 158 (遅れてきて思春期)

ふと思いだしたことがある。

もう何年も前のこと。

30歳代の既婚の女性が暴れるということで、初回夫婦そろって分析に来られた。

物を投げたり、包丁を振り回したり、マンションの窓から飛び降りようとしたりする。

それを夫一人では止めきれず、警察を呼ぶこともある。

夫の些細な言葉にひっかかり、彼女(30歳代女性)はそれを自分でも制御できない。

ある夜、「また妻が暴れているので、家に来て欲しい」と電話が入った。

多分もう夜11時を過ぎていたと思う。

とりあえずかけつけた。

騒ぎは一応おさまってはいたが、彼女の両親が来ていた。

彼女は母親に向かって、文句を言う。

しかし母親は何をいっているのという態度でとりあわない。

いきなりコップのお茶を母親にかけ、飛びかかろうとする彼女を私が抱き止めた。

思えば、私の手を振りほどこうとすればできただろうに、彼女はそうはせず「助けて!」「助けて!」と泣いた。

それでも母親は反応しない。

私は思わず「あんたはそれでも母親か」「娘が助けてといっているのに何もしないのか」と叫んだ。

それでも母親の冷ややかな目。

夜中2時頃だったろうか、クライアントの家を彼女の両親と一緒に出た。

玄関まで歩く途中、娘を受け入れてやって欲しいと私は言ったが、母親は「今のあの子を抱きとめることはできない」と言った。

母親の求める、いい子からは外れた娘を認められないということだ。

現象から言えば、これは家庭内暴力。

家庭内暴力は、思春期の子どもがすること。

それが結婚もした30歳代に出てくるとは =“遅れてきた思春期”である。

本来出すべき思春期に出せなくて、持ち越した分厄介である。

他の例では、同じように30歳代の男性だが、それまで社会適応し働いていたが、突然仕事をやめて家にひきこもり、暴れだしたというのもある。

親は手に負えず、どこか病院なり施設へでも入れたいと言った。

分析はそれをすすめない。

彼の行動の意味を知り、親のもとで世話をし、30歳であっても育てなおしをすることをすすめるが、なかなか理解してはもらえないが現状である。

いくつになっても、心に整理のつかないこと(愛を憎しみ)は残り、その人の人生に様々なかたちで影を落とす。


ラカン精神科学研究所のホームページ

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2008年10月21日 09:31に投稿されたエントリーのページです。

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