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分析家の独り言 315 (東京・秋葉原の無差別殺傷事件、加藤智大被告)

東京・秋葉原の無差別殺傷事件で殺人罪などに問われた元派遣社員、加藤智大(ともひろ)被告(27)の初公判が28日、東京地裁で開かれた。

加藤智大被告(27)が、事件で重傷を負った東京都江東区の元タクシー運転手、湯浅洋さん(55)に謝罪の手紙を送っていた。


加藤被告は、この手紙の中で、
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 この度は本当に申し訳ございませんでした。
 言い訳できることは何もありません。
 私は小さい頃(ころ)から「いい子」を演じてきました。
 意識してやっているわけではなく、それが当たり前でした。
 そのことがあるので、取り調べを受けている時から「申し訳ない」と思っている自分は、はたして本当の自分なのか、という疑念がありました。
 形だけの謝罪文はいくらでも書けますが、それは皆様への冒涜(ぼうとく)でしかなく、これは本心なの か、いつもの「いい子」ではないのか、と常に自問しながら書いています。
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と書かれている。

彼は、親に気に入るいい子を演じてきたのだろう。

おそらくそうしなければしかられる、家庭内での自分の待遇が悪くなったのだろう。

いい子を演じることは当たり前のことで、意識してやっているわけではないという。

いい子をするとは、自分の主体性や欲望を抹殺し、他者((親)に主体性を奪われていただろう。

だから、今謝罪している自分さえ、本当の自分の気持ちか、相変わらず小さい頃からしてきた「いい子」なのか、自分でもわからないのだ。

いい子いい人を演じていると、本当の自分が一体何なのかわからなくなる。

彼は自分を持たず、抜け殻のまま他者(親)の望むように生きてきた。

自分の感覚、考え、気持ちを持ち、それらを承認され肯定されないことは自我の死に等しい。

子育てをする親御さんたち、今一度子どもへの対応を振り返り反省して欲しい。


加藤被告は、次の様にも書いている。
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 「皆様には夢があり、温かい家族、恋人、友人などに囲まれ、人生を満喫していたところを私がすべて壊してしまった。
 取り返しのつかないことをしてしまった」「私にはそういったものはなく、それらを理不尽に奪われる苦痛を自分のこととして想像できず、歯がゆい」
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彼には温かい家族、恋人、友人などに囲まれることも、人生を満喫することもなかった。

せめて誰か彼の言葉に耳を傾ける人がいたら、ここまでの事件を起こすことは避けられたかもしれない。

いい子ではなく、まず彼の言うことをしっかり聞ける親がいたならと思う。


更に、次の様な文章もある。
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 どうせ死刑だと開き直るのではなく、すべてを説明することが皆さまと社会に対する責任であり、義務だと考えています。
 真実を明らかにし、対策してもらうことで似たような事件が二度と起らないようにすることで償いたいと考えています。
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是非その様にして欲しい。

彼の心の闇を解き明かすことで、今後同じような事件が起こらないようにしたいものである。


ラカン精神科学研究所のホームページ

月刊精神分析2009年9月号 秋葉原無差別殺人事件

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2010年1月28日 23:48に投稿されたエントリーのページです。

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