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分析家の独り言 318 (欲望の運動)

フロイトは「子ども時代はもうない」と言った。

クライアントは、様々な理由で楽しい子ども時代・学生時代を送れず、そのことを後悔し今も取り返したいと思っている。

しかしまた、そのものはもう無いということも知っている。

取り戻したい気持ちと、もうそこには帰れないもどかしさを抱え苦悶する。

そのままではいつまでもこの葛藤に執着し、動けない。

だからこそ過去を語り、整理をつけ、どういう自分だったか、なぜ納得のいく充実した子ども時代を送れなかったかをもう一度しっかり意識化した後、葬り去る。

人は無いとしっかり認識すれば、そのものを手に入れようと動き出す。

無いものを無いままにはできないから、今の自分として手に入れられる形で。

否定し、そこから生まれるものがある。

この無いと否定することにまず苦痛を伴う。

そこには、死んでいた(主体を抹殺された)悲しい自分がゴロゴロしており、それを見なければならない。

これを見ずに、「無い」と否定することは出来ないからだ。

無いと否定したものがファルスとなり、ファルスをもとに欲望の運動が始まる。

動き出した運動は止まることなく、動き続ける。

この運動が生きる充実感になる。


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2010年2月 2日 08:36に投稿されたエントリーのページです。

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