分析家の独り言 551(母性剥奪;母の存在)


精神分析に『母性剥奪』という概念があります。

これは母性のない状態を4つの段階に分けた中でも、最も母性がない状態をいいます。

重症度の高い順に、母性剥奪、母性喪失、母性欠如、母性欠損となります。

ここでいう母性とは、赤ちゃんへの世話行動をいいます。


『母性剥奪』とは、文字通り赤ちゃんへの世話行動を剥がし奪い取ること、

剥ぎ取ること、無理に取り上げることです。

母親による世話行動とは、オッパイを飲ませ、おむつを取り替え、

抱っこし温もりで包み、あやすことなどです。


この母による世話行動は赤ちゃんが生まれた瞬間から始まります。

それは24時間、片時も絶えることなく赤ちゃんに注がれなければなりません。

赤ちゃんも母の世話行動を求め、母のそれがあってこそ生きられます。

赤ちゃんにとってはなくてはならない、必要不可欠なものです。


生後すぐから6か月の間に、母親の都合、病気や仕事などによって

この世話行動がされないということは、赤ちゃんにすればあって当然の母性が、

皮をはぐように剥ぎ取られ奪い取られ、持ち去られたと同じことです。

これを『母性剥奪』といいます。


人間は生理的早産であるというように、本来あと1年くらいは母親のお腹にいることが望ましいのです。

なぜなら、動物は生まれて数時間すれば立ち上がり歩き出します。

しかし、人間の赤ちゃんは立ち上がりしっかり歩くまでに1年かかります。

すると、生まれてから少なくとも1年は、母親のお腹の中にいると同じ状態をつくってあげる必要があります。

それは、母親の皮膚で赤ちゃんを包む=抱っこすることです。

それを母親以外の人が抱っこし世話をしたら、それだけで赤ちゃんにとっては見捨てられた、

養育放棄されたという意味になります。


母の世話がなくては一瞬も安心して心地よく生きられない赤ちゃんが

それを受けられなった場合、赤ちゃんはうつになります。

それは無気力、無感情で泣かないということです。

更に、難病・奇病に罹患する確率が高くなります。

よく寝るおとなしい手のかからない良い子とは、親にとって都合のいい子であって、

人生の早いうちに訴えても無駄だとあきらめてしまった赤ちゃんです。

当然、後にいろいろな問題が出てきて、つけが回ります。

赤ちゃんのそばにいて、赤ちゃんが出すサインに敏速適確に応える母が理想です。

それには母の赤ちゃんへの関心が必要です。

産んだだけでは育たないのです。

するといずれ、この赤ちゃん時代を取り返すように24時間体制で育てなおすことになります。

それが治療法となります。


幼稚園や小学校、思春期になって子どもが何らかのサインを出してきますが、

体は成長しているので、後になるほど時間も労力もお金もかかります。

クライアントはそれでも子どものために『オールOK』をして対応していきます。

出来ることなら、産む前に子どもを生み育てる中で何がおき、

何が大事かを知って覚悟しておくことです。

改めて母の世話行動の大切さと、子どもにとって母の存在の大きさを思います。


これから子どもを産み育てようと思う人たちに知っておいてほしいことがたくさんあります。

興味関心のある方は、理論講座や個人分析でお話します。


                                          - SSC-1より -

           インテグレーター(精神分析家) 登張豊実


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このブログ記事について

このページは、が2014年6月12日 09:14に書いたブログ記事です。

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