1、ご挨拶
この記事に登場する惟能先生と宣照さんと私(編集部A)のプロフィールは下記の通りです。
惟能創理(いのうそうり)
日本初のインテグレーター(精神分析家)
宣照真理のスーパーバイザー
編集部A(へんしゅうぶえー)(略称)
月刊精神分析(げっかんせいしんぶんせき)編集部員A
1963(S.38)年3月12日生まれ
出身:福岡県福岡市。
コンピューター会社のシステムエンジニア。食品工場の生産管理業務に従事。
飲食店の経営を経た後、月刊精神分析編集部。
宣照真理(せんしょうまり)
精神分析家。ラカン精神科学研究所(滋賀県大津市)主宰。
1958(S.33)年4月22日生まれ
出身:滋賀県大津市。二女の母。
親和女子大学児童教育学科(兵庫県神戸市)卒業。
lacan_msl☆yahoo.co.jp

今号の質問者は滋賀県にお住まいの31歳会社員M子さんです。
「私は大学を卒業して、もうすぐ10年のOLです。年齢的にも三十代に入りそろそろ結婚や出産を本気で考えなくてはならない時期にさしかかってきました。将来の事を考えると、今の仕事を続け一生独身というのも難しい様な気がします。今の世の中の状況で私は仕事・結婚・出産育児をどのように考えればよいのでしょうか?」...という質問です。
「仕事」「結婚」「出産育児」という3つの要素の交わりによって女性のライフスタイルを区分できます。以下がその図(ベン図)です。説明は以下の通りです。この図は編集部で用意しました。

1、非婚子供なし「キャリアウーマン」独身貴族。
2、仕事を継続しつつ結婚生活を送る。収入は、旦那と妻のツインカムで経済的には安定。
3、専業主婦。経済的には夫の収入に依存する存在。
4、主婦をしながら子育て。経済的には夫の収入に依存する存在であるが、子育てに専念できる。
5、子育てのみ、離婚して、仕事もない状態での子育ては、生活保護を受けている経済状態か?
6、ワーキングマザー、子育てと、仕事、離婚しながらも、女一人で子育てに奮闘する母親。
7、仕事して、結婚して、子育ても・・・かなりのハイパワーが要求される。身分の保証された公務員なら可能か?
8、仕事しない、結婚しない、子どもいない、愛人家業に精をだすか?引きこもりの女性?
2、一般論としての女性のライフスタイル
先ほどのベン図で表せば、1→2→3→4→7と言った流れです。
5や6は、何らかのアクシデントで夫を失った人の生活様式で、当時は(今も?)あまり推奨されるものではありませんでした。
更に8は、今風に言えば「ひきこもり」昔風にいえば「家事手伝い」か、男に囲ってもらっている「愛人」という事になります。
さて、話を現代に戻します。
これから就職、結婚、出産を経験するのであろう女性たちの前途は?
まず、仕事ですが...
今から一世代前の人たちの経済状況は丁度、バブル経済前夜という状況で、景気は絶好調、企業の業績も右肩上がりでした。就職活動=就活(しゅうかつ)等と言う言葉もなく、大学から推薦をもらえば、面接後、内定、健康診断、入社式という軽い流れで、ともすると大学三年の春には内定が出ていた学生もいました。所謂、青田買い(本来、青田の時期に収穫量を見積もり、先物買いをすることを意味していたが、転じて優秀な人材を早期に確保する意味となった)です。政財界では奇しくも「リクルート事件」が発生した事も記憶にあります。
さて、現在は、平成不況(バブル景気崩壊後の、1990年代中期から2000年代前半に亘る不況の時代)により就職氷河期が進行中で、近年、表面化したサブプライムローン問題に端を発した世界金融危機はリーマン・ブラザーズ証券が2008年9月15日に連邦倒産法の適用を申請し、倒産した(リーマンショック)事などにより、未だに金融業、製造業共に振るわず学生の内定取り消しが相次ぐなど、明るい日差しが見えてきません。
さて、結婚です。最近では、結婚といえば「できちゃった結婚」(これを最近では「授かり婚」と言い換えるむきもあるようですが、要は結婚式をあげる前に子供ができてしまう...できてしまった状態)が多くなり、有名人の結婚報道の終わりには、「妊娠はしていない」の注釈がつく始末。更に初婚年齢は、28.2歳という統計がでており、今後更に、晩婚化が進む見込み。後ほど、宣照さんから解説して頂きますが、この「できちゃった結婚」あまりお勧めされる結婚ではないようです。
次に出産・育児は、赤ちゃんとのかかわりですが、赤ちゃんポスト、幼児虐待、車内で幼児2人死亡。熱射病?...などあまり好ましくないニュースが伝わってきます。
3、仕事 乳癌の増加は女性性の否定
1、時間の管理ができる事
2、お金の管理ができる事
3、自己統制ができる事...これは、時間もお金も含まれるので、特に心の部分を指しているものと思われます。
現実世界に目を向けて見て下さい。就業していても随分ルーズな人はいます。読者の周りにも社会人なのに子どもっぽい人は沢山おられますよね。精神発達論の視点で語れば、就業=社会参入した、社会適応できている...という状態です。強いて言えば、引きこもっていない(非ひきこもり)というレベルの話です。一見社会適応出来ている様に見える人達の中にも、自己統制できなくて...「他人のお金をとる」「風俗やギャンブルにいきまくって借金作る」「簡単にお金を借りまくる」...大人でない人達は沢山います。
この号のテーマから外れるかもしれませんが、女性が働く事と育児について述べます。
現在は、1999年の男女雇用機会均等法の改正により、採用、配置・昇進等での男女差別は禁止され現在に至っています。しかしながら現実問題として、男性に妊娠出産はできません。妊娠出産そして育児という大事業を遂行する女性からみると今の世の中の在り様は甚だ不条理を感じます。
例えば、女性が一般企業に採用され入社したとします。順調に仕事をこなしていても、結婚、妊娠・出産した後に、職場復帰が円滑になされているかというとそうではありません。精神分析家の私からすると、育児期間を含めると5年、7年育児をした後に安心して職場復帰できる環境でないといけません。
1980年代、女性が、企業内で働くと、腰掛(こしかけ:結婚したら会社を辞め、主婦業に徹すると考えている女性の仕事)と呼ばれ、重要なポストには就けず、十分な教育投資もしてもらえませんでした。そんな中、20世紀末、男女雇用機会均等法が改正され、女性の社会進出が進み、女性の就業率は年々増えていきました。すると、今度はどうでしょう。女性が社会進出した分、女性の非婚、晩婚化が進み、出生率が低下、少子高齢化が社会的な問題になっています。ここで注記したいのは、女性の社会進出が進んだと言っても、実際には、企業は非正規社員(派遣社員、パートタイマー)の採用を進めており、女性の労働環境や待遇がよくなったとは言えないような気がします。
好きな人と結婚して「子どもを生み育てる事が楽しい事」であるのが本来の姿であればいいのですが、現実には、今の状況を列記すれば...
出産しても、生活レベルは下げたくない。
子どもが引きこもったらどうしよう。子どもがイジメられたらどうしよう。
子どもがイジメの加害者になったらどうしよう。
子どもが秋葉原通り魔殺人事件の加藤容疑者のようになったらどうしよう。
教育費が高すぎる。
...等の不安をかかえ、とても子どもを生み育てる事が楽しい事とは思えない状況があります。
子どもを公園で遊ばせていたら、夫から「お前は子どもと遊んでいていいな」と嫌味を言われる妻の心境はどのようなものでしょうか?
経済効率を追求するあまり、経済効率を度外視しても物心を注がなくてはならない「育児」を等閑(なおざり)にしているのではないでしょうか?心ある皆さんの冷静な判断をお願いします。
これから就職して社会人となる方々には、今の社会情勢は本当に厳しいですが、私から一言アドバイスさせて頂ければ「自分のしたい事の有無」が大きなポイントになるのではないでしょうか?一時期流行した言葉にパーソナルアイデンティティというのがあります。直訳すれば「あるべき姿」という意味ですが、精神分析的に訳すなら「自我理想」になると思います。自分のしたい事や自分の在るべき姿を一生懸命に追い求めている人はエネルギッシュで輝いています。大いなる逆説で語れば、バブル経済期の学生は「自分のしたいこともないのに就職できていた」わけです。それは、ある意味、隠れた不幸だったのかも知れません。
日本における乳癌の頻度は増加の一途をたどっており、現在1年間に約3万6千人の方が乳癌と診断されています(1999年全国調査)。罹患率は全国ででは大腸癌についで第2位。また乳癌による死亡も現在日本の女性の癌による死亡の第4位にあたります。
これほど、乳がんが増えた背景には、女性のライフスタイルの変化や食生活の変化などが影響していると考えられています。乳がんは「ホルモン依存性のがん」といわれ、エストロゲンという女性ホルモンががんの発生に深く関わっています。エストロゲンは、月経など女性の体で重要な働きをしているホルモンですが、その一方で乳がんを促進する方向に働くのです。 ところが、現在の豊かな生活は、女性がエストロゲンを分泌する期間を長くしています。豊かになった食生活の影響で、初潮を迎える時期は早くなり、逆に閉経は遅くなっています。また、女性の社会進出も進み、晩婚、高齢出産、さらに少子化、あるいは子供を生まない女性も増えてきました。その結果、妊娠・授乳によるエストロゲンの分泌停止期間も短くなり、結果としてエストロゲンが分泌される期間が長くなっているのです。動物性脂肪の多い食事や高カロリーの食事が、エストロゲンを介して乳がんの危険を高めるという統計的なデータも報告されています。つまり、豊かな現代生活が、乳がんを増やす方向に働いているのです。...
...の様に、女性の晩婚化がその原因であると言われています。先生、精神分析的な解釈では少し違った見方になるとお聞きしましたが。
4、結婚 結婚と負け犬の遠吠え
...先ほどのベン図の1番にあたる方々ですが、30代超・子供を持たない未婚女性の立場は微妙な事が伺えます。Amazon.co.jpで「負け犬の遠吠え」をみてみると、カスタマーレビューが437件も入っていて「結婚」と裏を返せば「非婚」への関心度の高さを示しています。
昨今は、できちゃった婚、授かり婚が増えているらしいです。簡単に言えば、妊娠してから結婚へと進むケースです。これは、私が娘とも話すのですが「子供に失礼な行為」ではないかと...できてなかったら結婚してなかったかもしれないでは、結婚動機としては明らかに不純です。
私に相談にみえる方々殆どがそうなのですが、まず、結婚動機そのものが間違っている...というか希薄というか、考えていない人が多いです。できちゃった結婚以外にも...
ボランティア結婚:この人は私が結婚してあげないと、一生独身かも?と考えて結婚した。
なんとなく結婚:周りが盛り上がって雰囲気で結婚まで進んだ。主体性の欠如。
家出結婚:同居している両親がイヤで、それから逃避する為に結婚して所帯を持つ。
ウエディングドレスが着たいだけ結婚:名前の通りで、結婚を一時のイベント化している。
...などなど、何も考えていない人が多いです。結婚生活の先には、夫婦が共に自己犠牲をしながら行う出産育児が待っているのですが...「そんな事まで考えていたら、とても結婚なんて出来ません」という声が聞こえてきそうです。
5、出産育児は、夫婦関係の構築が基礎
<出産育児>
精神分析では育児は社会事業であって、母親は公人である=私的な事は犠牲にして育児を行う...と捉えています。精神分析論から妊娠出産の三つの条件を言うと...まず、
第一に妊娠した子どもが、愛した人の子どもである事。愛した人の子どもだから自己犠牲を強いて育児ができる。
第二:生む時を決める。安心して出産・育児に専念できる時を考えて妊娠する。
第三:男女の性別を考えて生む。男の子が欲しいのか?女の子が欲しいのか?決めてから生む。...と言います。
精神分析的妊娠出産には「できちゃった結婚」や「授かり婚」はありません。考え方として、自分が愛した男性の子を、出産育児ができる時を決めて、性別まで決め、自己犠牲を伴いながら育てていきます。ですから、出産育児をする母親は自己を犠牲にして、子育てに従事する公人なのです。私人では子育てはできません。「無計画に出来てしまった子」に対して女性はどこまで愛情を注げるでしょうか?子どもは母親に望まれて誕生する存在なのです。
以下、参考事例を述べます。
1、好きな男は別にいた女性。親の強い勧めで好きでもない人と結婚させられた。好きな男の子どもを妊娠。夫は、今も他人の子どもを我が子と思いながら生活している。
2、ハネムーンベイビーが出来てしまった。母親が仕事を始めたばかりだったので、望まない時の妊娠だった為か、流産。その後、子宝に恵まれなかった。
3、女の子が欲しかったのに男の子が生まれてしまった。男の子なのに、女の子の名前として読む事ができる名前を付け、髪の毛をのばしてスカートはかせて育てた。
次に、安心して出産できる環境づくりについて述べます。夫婦関係の構築。
結婚後の3年から5年は辞書を統一して夫婦二人の蜜をつくる。初めて聞かれる方には意味がわからないと思いますので説明します。
「辞書を統一する」とは、同じ意味の言葉で夫婦間の意思の疎通をできるようにするという意味です。違う環境で育った男女です。同じ空間で生活をするようになって、はじめて、自分の発している言葉と、相手の発している言葉の意味の相違を痛感する事でしょう。
「蜜を作る」とは、夫婦二人だけの空間で、お互いが甘え、親密さ、絆を創造します。それから発生する信頼関係が「蜜」です。
逆に言えば、意思の疎通が出来ない夫婦や、信頼関係が構築できていない夫婦は、出産育児に耐えられないという事です。
もっと言えば、結婚後の3年から5年は、子どもが成人する迄夫婦が一緒にいられるか?というパートナーのお試し期間と言えます。「できちゃった結婚」は以上の工程をすっ飛ばして、数ヵ月後に出産に臨む事になりますので、決してお勧めできません。
6、おわりに
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