精神分析を受ける

1、はじめに

今回もお会いできましたね。こんにちは。月刊精神分析編集部Aです。今回は、初めての試みで、精神分析家でも、クライアントでもなく、第三者の立場で「月刊精神分析」を編集発行してきた私、月刊精神分析編集部Aが、惟能先生の精神分析(セラピー)を受けました。

ここで、今までとは違った視点。クライアントからの視点で記事を編集できるので、クラインとの視点で「精神分析」に迫りたいと思います。

次のページで登場人物の紹介をします。

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2、登場人物プロフィール

惟能先生と宣照さんと私(編集部A)のプロフィールは下記の通りです。

惟能創理(いのうそうり)
日本初のインテグレーター(精神分析家)
宣照真理のスーパーバイザー

編集部A(へんしゅうぶえー)
月刊精神分析(げっかんせいしんぶんせき)編集部員A
1963(S.38)年3月12日生まれ
出身:福岡県福岡市。
コンピューター会社のシステムエンジニア。食品工場の生産管理業務に従事。
飲食店の経営を経た後、月刊精神分析編集部。
ひょんな切っ掛けから「精神分析」の世界を知り、約三年半色々な書籍を読み漁る。更に「月刊精神分析」の編集に関わりながら、今回、初めてセラピーを受ける事になった。
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宣照真理(せんしょうまり)
精神分析家。ラカン精神科学研究所(滋賀県大津市)主宰。
1958(S.33)年4月22日生まれ
出身:滋賀県大津市。二女の母。
親和女子大学児童教育学科(兵庫県神戸市)卒業。
lacan_msl☆yahoo.co.jp
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3、精神分析とは

編集部A 今更「精神分析とは」と言うタイトルもなんですが、改めて語ってみます。

精神分析とは?、(ラカン精神科学研究所のサイトから引用)
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 精神分析とは対話療法(セラピーと呼ぶ)であり、分析者(*インテグレーター)と被分析者(クライアント)が一対一で言葉による対話によって無意識を意識化し、コンプレックスを解消する療法です。このため言葉のみによる洞察的気付き療法ともいいます。いわゆる、「精神鑑定」とは全く別物です。

 フロイトは、「人間の行動を決定するのは、その人すら知らない無意識である。」といいました。クライアントの目的・治療目標によって、夢は無意識の形成物の代表であるため、無意識を知る手立てとして夢分析を行います。

 クライアントは分析を通して自分の様々な側面に気付き、それを意識化し、内面化し再組織化して、自己に統合していきます。その結果、クライアントは自己を肯定し、自己決定能力が高まり、物事の判断に迷いや葛藤がなくなります。クライアントから「生きるのが楽になった。」という言葉がよく聞かれます。
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 以前は、この文章を読んでも、半信半疑でスムーズに心の中に入って来なかったのですが、この三年半、常に自分の言動(発言や心の中のつぶやき、行動や体調)を考察していると、確かに「無意識(コンプレックス)」は存在するし、自分の体調は、自分の無意識によって左右されているのが分かりました。更に、分かったから、もう自分で自分の体調が管理できる...と言う事にはならなくて、やはり無意識(コンプレックス)に動かされてしまう、影響されてしまう自分がいるのに気がつきました。

先生、どうして、自分で自分の無意識(コンプレックス)に気付きながら、何故、人は無意識に引きずられてしまうのでしょうか?自分の無意識に気付いた時点で「無意識の意識化」ができているのなら、自分の無意識は既にコンプレックスでなくなっているのではないでしょうか?

宣照真理 それは気付きの深さの違いです。「そうかもしれないな」「そういうこともあるな」というのは、受け止めた段階で、「ああ、確かにそうだ」としっかり受け入れ、自分のなかで咀嚼し、自我に統合することを本当の意味での無意識の意識化といいます。
もともと自分が受け入れたくなくて、自分から切り離したり抑圧したことですから、そう簡単には受け入れ難いため、抵抗が生じます。しっかり受け入れたときには、自分でわかります。この"気付き"に至ることです。

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4、精神分析の実際

編集部A 2009年平成21年11月13日(金)

初めて、惟能先生とコンタクトをとり電話セラピーをお願いする。電話なのでお互いの容姿は分からないまま、声のやりとりでの精神分析(セラピー)となる。

簡単な自己紹介の後、先生から「何でもどうぞ!」と言われたので、自分の抱える問題。業務を行う上で自分が感じる心的重圧感、体に現れる症状等を話した。

先生は、「うんうん」頷きながら聞いている。時折「どんな不安感?」「手足に痺(しび)れは感じませんか?」「眩暈(めまい)はしますか?」「骨折をした事はありませんか?」「牛乳は飲みますか?」「何か大病はしませんでしたか?」「甘いものを沢山摂りませんか?」等と質問をしてくる。

質問内容は、病歴から家族構成、養育史に及んだ。

少し「精神分析」の事を勉強すれば、乳児、幼児、少年時代...どういう環境、どういう家庭で育ったか?両親や家族との関係はいかなるものであったかが重要なポイントになる事は知っている。

更に、名前の話。

精神分析の世界では「名前」は重要な意味を持つ。惟能先生の著書「運命は名前で決まる 精神分析的観点による姓名判断」にはこう記述されている。
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 他人が人を命名する行為には、無意識が使われる。他者は人に名前を付けるとき、祈願であり、欲望をもってそれをすると述べてきた。祈願も欲望も、かつて名付け親自身がそうありたいと考えたそれを言語化(抽象化)したものである。・・・この世に不在の自我を抽象したことになる。実現されなかった幽霊のような自己を表す語を人に付ける事になる。
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基本的に1セッション50分である。あっという間に終わった。

先生曰く「編集部Aさんは自己分析ができる人」。と言う事は、自分が今まで本を読んで考えた、自分の無意識(コンプレックス)の捉え方は的を得ていたと言う事だと思う。

これからの分析が楽しみになってきた。次に、各々の項目を考察してみます。

宣照真理 これまで、月刊精神分析やラカン精神科学研究所のホームページや各サイトを作ってもらう中で、精神分析について自ら勉強されたことがありましたね。分析の理論については知識を得られたことがあったでしょうが、実際に精神分析を受けるとまた違っていたと思います。
これから自分と向き合い、自分を知っていき、自分の変化・成長が感じられるでしょう。

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5、心的症状、身体症状

心的症状

狭い密室の深夜高速バスで移動していると、不安感が込み上げてくる。自分なりの表現すると、奥歯が虫歯になっていて痛み出すか出さないか位のギリギリの所にいる様な感覚。また、着ているものを総て脱ぎ捨てて「わぁー」っと絶叫したくなる。心療内科にいくと「パニック障害」と言う病名が付く筈。

身体症状

苦手な上司と一緒にいるだけで、緊張して汗が出て、頻尿となる。多分、こう言う症状を心療内科で訴えると「自律神経失調症」と言う病名がつく筈。

注釈:私の上司は、オーナー社長の妹であり、私は一社員である。よって、命令には絶対服従。年齢は同じくらいなのに理不尽な仕事を当然の様に指示してくる。自分には辛くて仕方がない。

社用車で一緒に移動するだけで疲れる。車は狭い密室。おまけにシートベルトで体は固定され逃げられない。高速道路を走る事は、SM状態である。質問には的確に答えなくてはならないし、車の運転は疎かにできないし、本当に疲れる...という症状。

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6、家庭環境(祖母の支配)

四人兄弟の長男として生まれる。
幼少時の家族構成。義理祖父、祖母、父、母、私、弟、妹、妹。説明文は幼少時。

義理祖父:祖母の再婚相手。私の父は、祖母の連れ子と言う立場。

祖母:祖母は典型ナルシスト。夫と死別。私の幼少期に再婚。自分中心に世の中や家族を振り回していた。また、その精神的思想は宗教の現世利益の思想に裏打ちされており、自分と本尊を同化させた様な言動が多かった。

:会社勤務。四人兄弟の末っ子でありながら、祖母の面倒をみた。祖母の言う事をよくきく良い子であり、父の存在が、祖母のナルシスト的立場を補完していた様。父の父(私からみると祖父)は父が中学生の頃、病死。

:公務員で内勤。夫である父は、祖母の言いなりであった為。父を頼りにしていない。結果、執着するもの(頼れるもの)は金銭となる。

私(長男):両親が共働きあった為、祖母によって育てられる。私からみた家庭:祖母や母が執着したのは金銭であり、家族愛など感じられず、世界を平和を念願する宗教組織に属していながら家庭内でのイザコザが絶えなかった。父も何かにつけ「宗教新聞を読みなさい」「宗教指導者のメッセージを拝読しなさい」等と、自分の主体性を放棄した発言が多かった。
宗教活動は選挙ともなれば「政治団体か?」と見紛う選挙支援を展開し、支持政党の支援活動をしなければならない立場になる。投票権はあっても候補選択の自由はなく、私自身まさしく主体性のない(主体性を奪われた)日々を送る事となった。

:大学中退後、引きこもり。現在も引きこもり中。

:結婚し二児の母

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7、養育史(母不在)

幼稚園の送り迎えも近所の園児と一緒に他の母親に面倒をみてもらった。私は従妹のお下がりの赤いランドセルを黒ペンキで塗りなおして小学校に通った。ランドセルを赤く塗ったのは祖母。その他、海水パンツや、手芸用品、音楽の授業で使う笛、そろばん、体操着、製図道具。なんでも、従妹のお下がりや、家にあった物を持たされた。祖母も、母も、お金を使うのがイヤだったに違いない。私のすぐ下の弟も、当時、実家に曲がりしていた女性に、ランドセルを買ってもらっていた。今更ながら、実の息子達に、ランドセルを買わない家も珍しいを思うが、当時は、祖母の締め付けがそれだけきつかったのかもしれないし、母も根っから金を使うのがイヤだった人なのかもしれない。さっきまで「世界を平和」を念願しながら、急に口論がはじまったり、仏界を云々講釈する宗教組織に属していながら家庭内でのイザコザが絶えなかった。

「蔵の財より身の財、身の財より心の財第一なり」と言う文言を聞きながら、「矛盾した家だな」と思いながら少年期を過ごした。

今にして思えば、祖母の宗教活動は、祖母が自分自身を肯定してくれる共同体(コミュニティー)に参加し、更に、祖母は宗教特有の「絶対に正しい」と言う信条教義を家庭内政治に利用したのではないかと思う。織田信長が錦の御旗を入手した様なもので、同居した家族はその威光に平伏す事になった。

母が若かりし頃、祖母は母の給料を「このお金は私がとるのではない、ご本尊様がとるのだ」と言って巻き上げていたらしい。それを許した父にも父性はないし、母が金銭本位の人になるのも無理はないと思う。この家で母の言う事をきくのは「金」だけだったのだから

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8、病歴、事故歴、いじめ暦

病歴

幼少期:麻疹(はしか)。水疱瘡(みずぼうそう)。

小学校3、4年生:、棒高跳びをしていて、肘から落ちて脱臼した。1ケ月ギプスをはめていた。骨折には至らなかった。

中学生:風疹(ふうしん)。また、中学校時代はいじめにもあう。制服をカッターナイフで切られたり、靴を隠されたり、当時体も小さく、大人しい私はターゲットにされたのだろう。

高校生尋常性乾癬(じんじょうせいかんせん)...これは私の自我の表れ?
この病気は、皮膚(表皮)の細胞分裂が通常より2~4倍ほどの速さで加速して、皮膚の入れ替わりがおこります。皮膚は大変もろい状態で、日焼け後のように白い粉をふいた状態になります。頭部の乾癬は髪の毛に隠れているせいか、"ふけ"と勘違いされる。
当時、自分はふけ症と思っていたのだが、実は、尋常性乾癬で、頭皮が剥けてフケとなっていたました。最近でもたまに、肘、膝、腰の上など、衣服で擦れ易い場所にできます。

大学受験直前アレルギー性血管炎...私にとって最大の疾病利得を齎した(疾病利得とは, 疾病に罹患していることによって得られる利得のことである)。大学入学試験の前日から35歳まで、両下肢にアレルギー性血管炎を患う。両下肢の皮膚が膿んで歩けなくなり正座もできなくなった。悪化すると歩く事も出来なくなる。仏壇に座って端座もできなくなり、当然、宗教活もできなくなる。これは、宗教活動が嫌で堪らなかった私にとっては最高の疾病利得であった。しかしながら生業である会社員生活にも当然支障が出る。35歳の時に、転職し故郷を離れ、宗教組織から離れる。(ネット上ではリベド血管炎と称しているサイトもありました。参考:リベド血管炎研究所
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<皮膚アレルギー性血管炎はどんな病気か>
 皮膚に限られる血管炎で、成人女性に多く、両下肢に発症して潰瘍と紫斑を伴います。全身症状はほとんどなく、発熱や関節痛などがあっても軽微です。
<原因は何か?>
 病因はアルサス型反応(型アレルギー)で免疫複合体(めんえきふくごうたい)が下腿の血管壁に沈着し、その結果発症すると考えられています。抗原には、病原体(溶連菌(ようれんきん)、ブドウ球菌、マイコバクテリア、B型肝炎ウイルス)、異種蛋白(異種血清)、自己蛋白(核成分)などがあります。
<症状の現れ方>
 両下腿から足の甲にかけて硬くなった紅斑(こうはん)、紫斑(しはん)、丘疹(きゅうしん)、分枝状皮斑(ぶんしじょうひはん)(リベドー)、びらん、潰瘍、瘢痕(はんこん)などさまざまな皮疹が混在してみられます。
<検査と診断>
 一般検査ではほとんど異常な所見はみられません。前記の臨床症状の存在と、全身症状や検査異常のないこと、病理組織学的に真皮上層~中層(まれに皮下組織)の小血管の壊死性(えしせい)血管炎が確認されることにより診断されます。
<治療の方法>
 安静が最良の治療法です。下肢を持ち上げ、止血薬や非ステロイド性消炎鎮痛薬を内服します。皮膚の潰瘍部に二次感染を生じた場合は抗生剤を内服し、局所的にも抗生剤含有軟膏を使います。安静にすることで比較的すみやかに軽快しますが、立ち仕事や歩行により再発しやすく、再三にわたり繰り返す場合は職場を換えることも検討せざるをえないこともあります。
<皮膚アレルギー性血管炎に気づいたらどうする>
 他の全身性血管炎との区別や診断確定のための組織検査が必要なので、皮膚科専門医を受診することをすすめます。(執筆者:妹尾明美)
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34歳:仕事の行き詰まり、人間関係から、自律神経失調症となる。極度の緊張、多汗、下痢、不眠など。転職、転地療法にて治る。それ以降、上記のアレルギー性血管炎は再発していない。

35歳:乗用車を運転中、居眠り運転で松の木に激突。進行方向から180度反転して止まる。シートベルトをしていた為、奇跡的にかすり傷で助かる。車は一発廃車。それ以来、車の運転に慎重になり、歩く事を心がける様になる。

42歳:腸捻転(ちょうねんてん)
夜中に急に苦しくなり、嘔吐し、近所の病院へ駆け込む。腸捻転と診断されるが、開腹手術をする事なく。一日の入院で直る。

46歳:現在も軽度の自律神経失調症。極度の緊張、多汗など。パニック障害がある。

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9、名前の意味(家系)

(我が家の家系図)            
★祖父 波平  
  |--- -- ★長男  
☆祖母 フネ ★次男  
  ★長女 C子  
☆義理祖父 太郎 ☆三男  
  |--- -- ☆長男(私)
  ☆母 サザエ ☆次男
  ☆長女 G子
           

☆:同居人 私の生れ育った家では、義理の祖父、祖母、父、母、私、弟、妹の6人家族であった。
祖母の息子は、私のからみると叔父と父。祖母の孫達(私と弟)...すべて、名前に「」が付いている。私が物心ついた時に知ったのだが、僕と弟の名前も祖母がつけたもの。

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10、診断:ヒステリー転換症

編集部A 惟能先生は、私の病に「ヒステリー転換症」と名前を付けた。

ネットで検索すると「ヒステリー」と「転換症」の意味は以下の通り。
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ヒステリーは神経症の一型で、器質的なものではなく、機能的な疾病である。本症は心因性反応型で、外的の事情や刺激に対する不快感動の反応として精神的あるいは身体的反応が起こる。

また、その人が直面している葛藤やストレスなどの心理的要因が転換症状の出現に密接に関連しているか否か?に注目する。

 第一には、転換症状を出すことで心理的葛藤やストレスとなることとたたかう努力を回避できること、つまり疾病へ逃避するという心理機制(一時疾病利得)がみてとれる事。第二には、二次疾病利得といって、症状によって周囲から同情や関心を得たり、自分のとるべき責任や自分にとって有害な活動を回避したりできるという心理機制がみられる事。
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 アレルギー性血管炎については、間違いなく宗教組織逃れの「疾病利得」があります。現実に、宗教組織から離れてからは、アレルギー性血管炎は一度も再発していない。つまり私は、精神的ストレスから逃れる為に、自分で自分の体を傷つけていたのだ。刃物を使わずに、自分の体を傷つけてしまうとは...改めて自分の精神構造はどうなっているのだろうと思う。ただ、これは精神構造の有り様としては珍しい話ではなく、世間一般の人でも、やっかしな問題が巻き起こると「胃が痛くなる」と同じ事なのでしょう。疾病当時から、自分の両下肢の左右対称に潰瘍が出来ていくのを見て「これは自分の内的な何かが原因なんだろうな」と思いながら生活していたのですが、明確に「疾病利得」と言うものを考えてはいませんでした。

宣照真理 編集部Aさんは、言葉で「宗教活動をしたくない」と言えなかった。小さい頃からそのことについて逆らうことはできず、従うしかないストレスで身体が悲鳴をあげたのでしょう。自分のしたくない宗教をさせる親や祖母に攻撃性を向けられないため、Aさんは自分の身体を攻撃してしまった。これはマゾヒズム(masochist:masochism)であり、マゾヒズムは自分に向けたサディズム(Sadohisuto:sadism)と表現できます。マゾヒズムとサディズムは表裏一体で、簡単にひっくり返ります。
アレルギー性血管炎になれば、その痛々しい足の傷のために、宗教活動から逃れられるはずだったのですが、どうもそうではなかったようですね。
編集部A 私は長い事、この病気に苛(さいなまれ)てきました。この病気の為に、もちろん職業選択の幅も狭まったし、行動の障害になったし、結婚も無理かも...と悲観的な生活を長らく強いられました。「もう信心したくない」の一言が言えなかった為に随分人生をムダにしてしまった様です。こう言う現実の自分と向き合う「精神分析」とは随分辛いものの様な気がしてきました。
宣照真理 確かに自分が見たくないから心の奥にしまったこと、ふたをして無いことにしたかったことに向き合うですから辛いこともあると思います。
しかしまた、辛いからといってそういう自分から逃げ切れるものでもないのです。何らかの形で自分に影響を与えてきます。それは例えばAさんの場合でいうなら、身体症状としてアレルギー性血管炎であったり、パニック障害や異常な発汗や頻尿などです。これらの症状に悩まされ続けるか、辛いながらも自分と向き合って根本的解決を取るかと選択を迫られるようなものかもしれません。
私のことで言えば、分析を受けて出てくる自分は醜い、悲しい、可愛そうな自分でしたが、それでもそれを知るといろんなことの辻褄があって納得がいき、知ることが楽しいと感じられました。
今は分析により変容し成長した自分を知ることができます。そして生きていることの喜びを感じられるようになりました。今ここに立つと、昔いかに大変な中を生きていたかがわかります。
辛い思いも、苦労もしたでしょうが、取り組んでよかったと思います。

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11、貴方は赤ちゃんだ

編集部A 痛みや痒みも無いのですが、今でも時々でる尋常性乾癬(じんじょうせいかんせん)。この病気は、現在でもはっきりした原因がわかっていない病気で、ネット上でも難病的な扱いをされています。例えばWikipediaには以下の様に取り上げられています。
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皮膚の表皮を作るスピードが通常の10倍速を上回り(正常皮膚の細胞周期は約457時間、対して病変部位は37.5時間と1/10以下。癌細胞の増殖を超える速度)、真皮の血管が肥大しつつ組織を炎症しながら、表皮が角化し剥離する入れ換わり周期(ターンオーバーと呼ばれる)が通常なら4週間のところ3~4日で完了し、どんどん表皮が増殖し角化が亢進している状態によって白いカサブタ状の皮疹を多く生じる。
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ある皮膚科の医師は「皮膚代謝が赤ちゃんの様になる」...という表現をされました。

惟能先生曰く「Aさんは赤ちゃんだ」と言われました。先生これはどういう事なのでしょうか?

宣照真理 話が長くなりそうですが、心理学の精神発達論によれば、人は母から適切な世話を受ける事で、心が育っていきます。逆に、適切な世話をされないと、心が育たず...例えば口唇期(生後、1歳から1.5歳)の時期で止まってしまう事があります。本来、口唇期に世話をされる事によって獲得した筈の「基本的信頼の獲得」や「甘えと依存からの脱却」が出来てないか中途半端な為に、それが身体的に表現されているのだと思われます。それがAさんの場合「乾癬」なのではないかと思われます。心理学の世界観では「皮膚=自我」ととらえていて、皮膚疾患の多くは精神的に起因するものが多いです。蛇足ですが「女性の化粧ののりが悪い」という訴えも、「精神的ストレス」など心の状態が関係しています。
編集部A 私的には「あなたは赤ちゃんだ」と言われる事はショックな事なのですが、精神的に未熟(未発達)な部分があると言う事なんですね。
宣照真理 そうです、精神分析では、分析者はクライアントの心の状態を描きます。足りないものや欠けている物をクライアントに伝えます。クライアンとは、それを理解し納得したら、欠けている物を求め動き出す。こういう動きが治療のプロセスになります。

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12、貴方の家系には男がいない

編集部A 9の我が家の家系図をみた惟能先生は「貴方の家系にはがいない」と言った。

これは、私も前々から気付いていた事であるが、私の祖母は、自分の息子達、そして、孫にまで「」という名前をつけている。家系図を書いてみて思った事は、祖母の権力の下にいる男はみんな「」と名付けられているという事。自分の子どもならまだしも、孫にまで...。いかに祖母中心に家族が動いていたかという事がわかるし、私の両親は主体性を祖母に奪われていた。

そして更に、「」という名前は「男」を表している。「田原俊彦」「近藤真彦」「海彦」「山彦」の「彦」である。何故、祖母は、「」に拘ったのか?

精神分析の世界では、名前は「この世に不在の自我を抽象した」モノと捉えている。と言う事は、祖母は「男」を欲していたと言う事になる。不在だから=それを欲した。...という理屈である。つまり、祖母は他者(子どもや孫にまで)に自分の欲望(しっかりした男が欲しい)である「彦」(男)を名付けたのである。

何故にそこまで「彦」(意味:男)「父性」を求めたのか?この部分は、もう他界してしまった彼女の養育史を追わないとわからので分析のしようもない。ただ、祖母のナルシシスト的性格から推測できるのは、祖母は養育史上、健全な自己愛(自己肯定感)を育てる事が出来なかったのは確かである。子どもの頃適切な世話をされなかった。それ故に未だに、周りを振り回す。それに、肥大した自己愛。それに+宗教的絶対神=無敵。祖母は敵なしで家族の頂点に君臨した。

祖母の結婚相手である祖父(父の父)も再婚相手も祖母より先に他界している。そして、無意識では父性のある男を求めながら...自分自身がナルシシストとして家長的な立場で家族を振り回し、宗教活動に傾倒していったのである。そして、挙句は「絶対正しい信心をしている私は絶対正しい」と言わんばかりに、家族の主体性を奪っていったのである。父性を求めながら、現実には家族(同居人)の主体性を奪い去勢していく。なんとも矛盾した祖母と、家庭と家族であった。

惟能先生は仰いました「貴方の祖母はまだ生きていますね。」私は即座に「はい」と答えました。

確かに祖母は生きている。父も母も私も弟も主体性を失い、去勢されたまま。未だに呪縛に囚われたままである。祖母が他界して、既に10年以上が経つ。にもかかわらず、私の実家は未だに祖母の亡霊の宗教に支配され続けている。何も変わらないし、弟は引きこもりのままである。

ぶっそうな表現だか、精神分析の世界では、子どもが母から分離していく事を「母殺し」という。自分の場合は「祖母殺し」をしなければ「自律(自立)」していないと言う事になる。

惟能先生は、はっきり仰いました。「「貴方の分析のテーマは"祖母殺し"です」、そして母は不在です。自分の中では頭で考え思っていた事なのだが、他人から確信的な言葉で言われるのは、心への響き方が違う。「先生から見てもそうなのか...」

「貴方は自己分析が出来る人です。これから、自分の中の自分をみていきましょう」と先生は電話の向こうで仰いました。

これから「無意識を意識化」する作業が始まる。

宣照真理 「母殺し」「父殺し」「祖母殺し」と聞くとぶっそうなイメージですが、要は現存する母や父ではなく、育ってくる過程でその人の心の中に焼き付けられた(内在化された)母・父の悪しきイメージを殺す=消去していくという意味です。
分析家の独り言294(変容、母をあきらめる)を参照ください。

100%の親も人もいないわけですから、多かれ少なかれ悪い母・父の対象イメージが内在化されています。それは無意識のレベルの話なので、意識上本人は親など関係ないと思っています。これが本当に関係なければいいのですが、大いに我々に影響を与えてきます。
自分の意思とは関係なく親の信じる宗教を強制されると、親の世話になっている間は、理不尽と思うことも嫌なことも聞くしかなく、自分を殺して親に合わさなければならない、これは精神的死と同じです。
宗教の限らず、親の価値観、例えば勉強しないと幸せになれないとか、世間体をきにしてしっかりした子に育てようと厳しく躾けられたりして、歪められたり傷付いたりしています。それらが心の負担となり、ある人は不登校やひきこもり、家庭内暴力、非行、更には犯罪など行動化したり、Aさんのように親を攻撃できないために自分の身体を攻撃する=病気になって身体を病む。精神を病む人もいるわけです。
一般には、ここまで心が影響しているとは思われないのではないでしょうか。
この心の構造を会話によって見、無意識を意識化していくと、クライアントの言葉を借りると「生きるのが楽になる」のです。更に人生を楽しめるようになります。

分析によって情動ともに語り、整理をつけ、母・父と分離し決別していけばもう影響を受けることはありません。一人の自立・独立した自分として親と付き合うようになり、人対人として、そこから本来の人間関係、親子関係が築いていけます。

編集部A 「彦」=「男」そして、「男」=「父性」ならば、「父性」とはなにか?男とは、前へ前へ突き進むもの。理性、知性、論理性、指導力、智性。智:物の道理を知り、正しい判断を下す能力。「父性」については続号で特集を組みたいと思います。

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13、おわりに

編集部A 今月号は、私「月刊精神分析 編集部A」が、惟能先生の「精神分析を受ける」を特集しました。私が日頃から漫然と考えていた事を先生に話す事によって、自分のコンプレックス(無意識)が、より鮮明になった様な気がします。イメージ的には、ベールで覆われてものがクリアーになる感じ。ぼやけた輪郭がすっきりする様なイメージでしょうか?

私の心的症状の、パニック障害も、閉所で身動きのとれない状況で、何かしらのコンプレックス(無意識)を刺激される事で巻き起こる症状である事は明白です。例えば、したくも無かった宗教活動をさせられる環境を諦め、意識下(無意識)に抑圧した欲求がコンプレックス化しているのだと思われます。宗教活動は何かにつれ身動きが取れなくなります。狭い会場に押し込められたり、仏壇の前で何時間も正座させられたり、特に幼少の頃は足が痛くしてたまりませんでした。

次の、私の身体症状ですが、これも、自分が苦手とする上司から逃げたい自分の無意識が、体調にまで影響を及ぼすと言う事なのでしょう。こう言うカラクリを心理学用語で「投影」と言うそうです。説明文を引用しておきます。
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自分が我慢、抑圧している感情を知る
投影とは「自分の考え方・心の状態・思考などで、気が付いていなかった部分が、他人(相手)に見えたり、相手がそのものだと思ってしまう事」
投影を使うと普段は意識しないけれど、実は我慢してる事を知る事もできます。と同時に自分の心の痛みを知る事もできます。あなたが人に対して「こいつ嫌だなあ」「苦手だなあ」と感じたら、具体的にどんなところに嫌悪感があるのかをチェックしてみてください。例えば「高圧的なところ」「裏表のあるところ」「怒りっぽいところ」などなど。そこから「なんでそこが嫌なんだろう?」って考えてみてください。「そんな部分はみんな嫌だろう・・・けど、なんでやろ?」って風に。もしかしたらそこには「高圧的な奴に苦しめられた自分(または周りの人)」の存在が浮かび上がってくるかもしれません。だとすると、なんだかその部分であなたは傷ついてしまってるようです。
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つまり私は、苦手とする上司の中に、死んだ筈の祖母を見て、緊張し、汗をかき、頻尿になっているのです。もう祖母が他界して10年以上経っていますが、まだ祖母は私の中に生きている事になります。これを心理学用語で「内在化」と言うそうです。ただ単に思い出や記憶として生きているなら問題ないのですが、この様に体調に影響し、仕事や人間関係に影響を及ぼすようだと、治療の対象と言う事になります。

他人から、「貴方は赤ちゃんだ」とか「男がいない」等といわれるのは、あまり気持ちのいいものではありませんが、私の心の中では「やっぱりそうか」的な感じで受け取れました。

今の自分を明確に理解し、なりたい自分をイメージすれば、自ずと変わって行く...筈です。苦笑。今の自分のままでは、何かしら違う。違和感がある。なぜだろう?そんな感覚をお持ちの方も、一度、精神分析を受けてみられては如何でしょうか?。

私の場合、約三年にわたり、精神分析関連の書籍等に目を通し、その「世界観」を頭で理解し、「自分の有り方」を自己分析していたものの、相変わらず「不本意な自分」は存在し続けています。

他者を鏡として、これから更に、「今の自分を見て」→「なりたい自分をイメージ」できれば、私自身が変容していく筈。無意識の意識化に挑戦していきます。続編にご期待下さい。本日はありがとうございました。

宣照真理 分析を受けている方には共感する部分も多々あったと思います。分析というものを知らない方にはわかりにくかったかもしれませんが、精神分析というものの一端を見ていただけたのではないかと思います。
Aさんは、ご自分のことを赤裸々に語られ、辛いこともあったのではないかと思います。
今後のことについては、非常に個人的なことでありますからあまり無理をされませんように。
しかし着実に自分探しの旅を続けらえれることを願っています。
本日はありがとうございました。

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14、Webマガジン月刊精神分析&分析家ネットワーク



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 精神分析(セラピー)を受け、インテグレーター(精神分析家)を目指し理論を学んだ人たちが、東北・関東・関西を中心に実際にインテグレーターとして活動しています。  夏には、那須で恒例の「分析サミット」が開かれ、症例報告・研究などの研修会も行っています。  私たちインテグレーターを紹介します。(敬称略)  メールに関して、☆を@に変換したメールアドレスにメール送信願います(スパムメール対策)

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